どーも!インファクトリー山田です。私はインファクトリーの工場に勤めて11年のベテラン職人です。今回はシルクスクリーンプリントをするのに欠かせない道具、「スキージ」について紹介したいと思います。
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スキージとは
スキージとは、版に乗せたインクをかき取るように滑らしてアイテムへプリントする時に使用する道具です。スキージはプリントの仕上がりを左右する重要な道具になります。
スキージはもともと、漁師が船のデッキを掃除するためのものだったと言われています。そこから派生し、シルクスクリーンプリントに使われるようになりました。スキージにはシルクスクリーンプリントだけでなく、ガラスの水切りや床掃除に使う物もあります。
シルクスクリーンプリントで使用するスキージは、ブレードと呼ばれる先端部分でインクをかき取りプリントします。
プリント方法には「手刷り」と「機械刷り」の2種類があります。
「手刷り」で使用するスキージは、木製やアルミ製の持ち手にブレードが固定されています。木製は手に馴染みやすく、アルミ製は丈夫でブレードの交換ができます。
「機械刷り」用のスキージは、専用ホルダーにブレードを固定し、機械を動かしてプリントします。
インファクトリーでは、全て手刷りでプリントしています。次に手刷りプリントで使用するスキージについて紹介します。
手刷り用スキージ
手刷り用スキージには大きく分けて「プラスチック製」と「ゴム製」があります。これはどちらもブレードの素材のことで、プリント方法によって使い分けています。
それぞれの特徴を解説していきます。
プラスチック製
ゴム製のスキージより安価で入手しやすく、趣味でシルクスクリーンプリントを始めたい方にオススメです。持ち手があり、プラスチック製のブレードが固定されているものや、持ち手がなく1枚の板のような形のものがあります。
プラスチック製は固く柔軟性がないため色むらが出やすく、ベタが多いデザインや大きいデザインには向いていません。ワンポイントデザインをプリントしたい時などに向いています。
ゴム製
プラスチック製よりもプロ向けスキージがゴム製スキージです。
木製の持ち手にゴム製のブレードが固定されています。ゴム製スキージには柔軟性があり、プラスチック製に比べてムラが出にくく、細かいデザインのプリントに向いています。また、耐久性・耐溶剤性に優れています。インファクトリーで使用しているスキージは全てゴム製のスキージです。
ブレードのゴムは「硬度」と「厚み」によって使い分けます。
硬度は「60度」「70度」「80度」と表します。インファクトリーにあるスキージはゴムの色で高度を分けてあり、赤→緑→青と固くなります。ゴムの厚みは「6mm」と「9mm」があります。同じ硬度でも6mmの方が柔軟性があり、9mmの方が固く力が伝わりやすくなります。
インファクトリーでは「赤の9mm」「赤の6mm」「緑の6mm」「青の9mm」と全4種類を使い分けています。次にそれぞれの特徴と選び方を紹介します。
各スキージの特徴と選び方
赤スキージ
赤スキージは硬度が低く柔軟性があります。赤の9mmが程よい硬さと柔軟性で扱いやすい基本のスキージです。どんなデザインでもオールマイティにプリントできます。
赤の6mmが一番柔らかいスキージです。ゴムが反りやすく、スキージの角度が寝かせ気味になるので、インクを多く乗せられます。ベタが大きいデザインで濃くプリントしたい時に向いています。
しかし、インクが多く出ると細かい文字や線は滲みやすく潰れてしまうので、細かいデザインには向いていません。
緑スキージ
赤より硬いのが緑スキージです。ゴムが反りにくくプリントする力が伝わりやすいため、細かい文字や線を鮮明に出したい時に向いています。ただし、力を入れすぎてプリントするとインクが乗らず、発色が薄くなってしまいます。プリントする力加減にコツがいります。網点などのデザインをプリントする時に向いています。
青スキージ
一番硬いのが青スキージです。青スキージは硬度が高く耐溶剤性に優れています。油性インクを使いプリントする場合、スキージについたインクは溶剤を使用し拭き取ります。そのため油性インクでプリントする際は耐溶剤性の優れた青スキージを使用します。
実際にプリントしてみる
実際にプリントする様子を紹介します。
まずは版を準備します。
スキージを選びインクを乗せます。
プリントします。
ムラなく発色のいいプリントができました。
キレイなプリントをするにはスキージ選びからスキージの角度、動かし方が重要です。
全ての条件をクリアすることで、質の高いプリントができます。
スキージの種類と選び方まとめ
・プラスチック製スキージは安価で入手できエントリーモデルに向いている。
・プリントのし易さはゴム製スキージより劣る。
・ゴム製スキージは硬さと厚さに種類がある。
・ゴムが硬いほど細かい柄を鮮明に出したい時に向いているがインクが乗りにくい。
・ゴムが柔らかいほどインクが乗りやすいが滲みやすい。
最後に
今回はシルクスクリーンプリントに欠かせない道具「スキージ」について紹介しました。スキージには種類があり、スキージ選びがプリントの仕上がりを左右する大切なポイントになります。
シルクスクリーンプリントで使う道具はスキージの他にもインクや版などがあります。そちらについても詳しく解説したブログをどんどん上げていきますので是非読んでみてください。
Written by 山田