こんにちは。磯谷明宏です。ご無沙汰しております。このコラムを見つけていただきありがとうございます。今回、2回目の育休で得た体験やエピソード、アドバイスなどを書きましたので、読んでいただけましたら幸いです。
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はじめに
2021年1人目が産まれ1年間の育休。2022年に仕事復帰。2023年に2人目が産まれ、再度1年間の育休をいただきました。
世間では毎年少しずつですが、男性の育児休暇取得が広まってきています。しかしながら、男性の育休は日数が3日だったり2週間だったり、短いと言われています。1年間という長きに渡り育休を取得できるという事は、大変稀な例だと思います。
その育休を2回、計2年間取得出来た事は、インファクトリーの社長をはじめとする、社員さんやパートさんのおかげであります。この場をお借りしまして暑く御礼申し上げます。ご支援ご協力をいただき誠にありがとうございました。今後とも益々の努力、昇進してまいります。復帰後もよろしくお願い申し上げます。
妻突然の長期入院。
その時は、突然やってきました。
実は、妊娠当初から妻に出血などがあり、日々どうなるか心配しておりました。安定期に入ってから落ちついたという事で、会社に妊娠を報告しました。その後も度々出血などがあり、1か月半ぐらい経った日のこと、かかりつけの産婦人科より胎児が小さいとの事で総合病院を紹介されました。
総合病院にて検査を行った結果、胎盤が分厚い・胎児が小さい・出血がある、という状態で、切迫流産や早産の危険があるため、即時の入院を勧められました。そこからはパニックでした。
バタバタと入院準備をし、2日後に入院しました。コロナ禍の為、妻とは面会できず、顔を見れるのはスマホのビデオ通話だけでした。
まさに青天の霹靂。
それまで家族3人で仲睦まじく暮らしていたのが、いきなりの嵐に見舞われた感じがしました。妻も子供と離れ、子供も母と離れ、それぞれ言葉にできないぐらいの寂しい思いをしたと思います。3人で暮らしていたアパートには私1人が残り、とても寂しい思いでした。
誰かといる幸せを自分は当たり前のように感じていましたが、当たり前でなくなっとき、改めて家族の暖かさや、自分にとっての重要性を身に沁みて感じました。これからの不安と先の見えない恐怖が自分を取り囲んできました。
気がかりな事は子供の事です。まだ保育園や幼稚園には通っておらず、誰かが面倒をみなければなりません。私は、会社から少し早いお休みをいただいておりましたが、仕事が忙しい時はいつでも仕事に行ける体制を整えておりました。
そのため、平日は妻の実家に子供を預けて、土日は私の実家に預けて生活する事にしました。仕事がない日であれば、私が妻の実家に行くようにしました。自分にとって頼れる身内が近くにいる事が、とても頼りになり、心強く有り難く思いました。また同時に、少し早めに休みをいただけた会社にとても感謝しました。
1か月ほど経つと、妻も子供も、そして私も、そのような生活に段々と慣れてきました。子供も、おじいちゃんやおばあちゃんに懐いて、笑顔を取り戻していきました。
私は休みをいただいておりましたので、子供を病院に連れて行ったり、子供の集まる地域のサークルや幼稚園の体験に参加することができ、大変助かりました。
その中で、男性の人数が圧倒的に少ないように感じました。稀に男性を見かけることもありましたが、本当に稀。
ママさん達ともおしゃべりしましたが、男性で育休を1年取得できている事に対し、大変驚かれました。「良いですね」「羨ましい」や「すごく良い会社ですね」と声をかけていただきました。改めて、今の自分の状況を有り難く思いました。同時に、男性の育休が広がる事を切に願いました。
1208g の小さな命
21週で入院し、2ヶ月が過ぎた頃、病院から呼び出しがかかりました。夫婦2人で病院の先生の話を聞くとの事。2ヶ月ぶりに妻と直接会える事への嬉しさもありつつ、先生の話を聞くという事で緊張もありました。
先生との話し合いの結果、これ以上赤ちゃんがお腹にいると母体に負担がかかるため、出産して保育器である程度大きくなるまで育てる事になりました。帝王切開による計画的な出産になります。エコーなどから、予想の体重は950g。帝王出産後すぐNICU(※)に入る予定です。
いよいよ決まりかと様々な同意書にサインをしていざ決意が固まっていきました。
※NICU:超低出生体重児(1,000g未満)を含むあらゆる病的新生児が対象で、除外対象はありません。外科疾患についてもすべて対応しています。基本的に一度も自宅退院していない赤ちゃんが入院対象となります。
いざ出産の日。出産に臨む妻と挨拶を交わし、手術室に入る妻を見送ります。我が子を見れることへの期待、怖さ、どうなるか不透明な感覚。複雑な感情で出産を待っていました。
そして……。
「無事産まれました」と看護師さんに声を掛けていただきました。保育器に入った我が子を見ると、とてもとても小さな身体でした。小さいけれど、1208gありました。「思っていたより大きくて良かったです」と先生に言ってもらえました。呼吸器が付いてましたが、必死に動いており、力強さも感じました。
言葉にならない感動と、これから無事に育ってくれと心から願いました。
それから、NICUに運ばれて行きました。妻を労い、数時間後に先生と話をして、再び我が子と対面しました。本当に小さな身体でしたが、「無事産まれてきてくれてありがとう」と声をかけました。
出産の経験は2回目でしたが、「同じ出産はないんだな〜」と改めて感じました。
2回目の育休中の日々。仕事。家を買う。
その後、子供は2ヶ月ほど入院をしました。順調に育ち、遂には無事に退院する事ができました。
退院後、子供と1ヶ月ほど妻の実家に身を寄せて、その後アパートに戻りました。アパートに戻ってからの2〜3ヶ月はとても大変でした。なかなかミルクを飲んでくれなかったり、夜泣きで何度も起きたり、頭がおかしくなりそうになりました。夜泣きにつられて上の子も起きることもあり、なかなかぐっすり眠れない日々が続いていました。
3ヶ月ほど経つと、だんだん夜泣きも落ちついてきました。ミルクもしっかり飲んでくれて、心も生活も安定していきました。
そんな日々の中、会社から繁忙期である夏場を前にして、少しずつ忙しくなってきたと、たまに出勤をお願いされるようになりました(育休のルールの中で出勤する事は可能です)。
久しぶりの出勤ということで緊張はしましたが、仕事仲間に会えたり、家族の以外の人と交流できるので、嫌な気持ちはありませんでした。前回育休を取得した際は、一年間丸々休みだったので、身体が鈍って感覚を戻すのに時間がかかったため、私的にたまに出勤するのはアリだなと思いました(人それぞれ思いは違いますので、あくまで私の主観であります)。
前回の育休では、大人2人で子供1人を見るため少し余裕がありましたが、今回は大人2人で子供2人を見ることになったため、なかなか大変でした。どうしても、一対一のお世話になってくるので、自分の時間は前回のようには取れないと感じました。
育休の中盤から後半には大分落ちついてきて、少しずつ自分の時間が取れるようになっていきました。その頃には、アパートも手狭になってきたため、家を買う決意をしました。
育休中で平日動けるメリットを活かして様々な家を見に行ったりして、最終的に実家近くの家を買いました。夫婦でお互いの意見を出し話し合うことができたのは、大きいメリットだったと思います。
育休のメリット・デメリット・アドバイス
私が考えるメリット・デメリットとアドバイスです。
メリット
- 働かなくてもお金が貰える。
- 産後、一番大変な時の妻を労れる。
- 子供の成長を間近で見ることができる。
- ゆとりをもって子供を育てる事ができる。
- 夫婦でたくさんの話し合いができる。
- 夫婦で協力することで、多少の自分の時間を持つことができる。
- 平日、空いている所に出掛けられる。
デメリット
- バリバリ稼ぎたい人にとっては給料が減る。
- 復帰後、会社でのブランクなど不安になる。
- 常に夫婦で一緒にいると、互いにイライラすることも出てくる。
- 社会から置いていかれた感じがする。
- 周囲に冷ややかな目で見られる時がある。
アドバイス
やはり、育休の最大のメリットはお金のこと。私は2年ほど、この制度でお金を得ました。
育休期間中、育児休業給付金として6カ月(180日)間は休業開始時の賃金の67%が、その後は育休終了時まで50%が支給されます。 受給手続きは会社が行います。雇用保険の加入者であれば、雇用形態にかかわらず誰でも受給できます。支給頻度は2ヶ月に1回です。
最初は67%の支給ですが、途中から50%になるため、計画的に使用することが大切です。トータルでいくら貰えるか、最初に把握する事が大切です。バリバリ残業をして稼ぎたい人にとっては、収入は少し減ります。夫婦で話し合い、お金の使い道だったり、生活費などの支出額を共有する事が大切です。
産後の妻は、ホルモンバランスの崩れなどの要因によって、情緒不安定な時期です。イライラしたり出産後の痛みがあるなど、慣れない育児期間には大変な時です。深夜の夜泣きや授乳など、なかなか寝られません。
その時期に、夫として妻に寄り添い、労わることが大切です。夜泣きなどは夫婦が協力して対応することができます。仕事が休みなので、ほとんど寝れていない状態で仕事をするという事はありません。
平日に空いているところにいけるのも良いと感じる点です。私は名古屋港水族館に行ってきました。
日々の子供の成長が見れる事は素晴らしいです。新生児→乳児→幼児と劇的に変わっていく様子を間近で見れる幸せ(めちゃくちゃ変わっていきます)。
夫婦の時間が増える事により、いろいろな話し合いや相談が出来ます。反面、24時間ずっと一緒にいて夫婦の時間が増える事により、相手の言動に対し腹が立つ事がたまにあります。良かれと思ってやった事が癇に障ったり。
特に、出産後は夜泣きで寝れなかったり慣れない事が続き、お互いケンカになりやすいです。出来ればお互いに、ほっとする時間ができたら良いとなと思います。お互い1人の時間を作ったり、家族以外の友人と会ったり、息抜きが大切です。お互いを労る事ができると良いと思います。
仕事に復帰した際はブランクを感じました。感覚を取り戻すまで、1ヶ月はかかりました。また、太ったことで動きは鈍くなりました。育休中であってもできるだけ身体を動かしていた方が良かったと痛感しました。が、今回2回目の育休ではなかなか時間が取れず、身体を動かす事が出来ませんでした(反省)。
しかしながら、私は2年間育休をとった事に全く後悔はしていません。育休を通して学んだ事や、経験した事全て自分の財産になりました。今後の自分の人生や、子供を育てる上で大きくプラスになる出来事でした。
育休取得率男女共100% インファクトリーの取り組みと今後にむけて
インファクトリーでは、育休取得率100%です。通算で8人です。私は2回目でした。夫婦で育休を取得された方もおります。
今は、2人が育休中です。2020年から実に9人の子供が産まれています。昨今の少子高齢化の中、この出生率は充実した育休制度が後押しをしていると思います。2020年より毎年育休を誰かが取得している状況です。
一番最初に育休を取得した人に対し、私は懐疑的な見方をしていました。「男が育休を1年間も取って何をするのかな?」と思っていました。が、自身も育休を取得してその考えは誤りであったなと深く反省しております。
育休を取得できて、沢山の経験や気づきを得る事ができました。これもひとえに、社長をはじめとしたインファクトリーの社員さん、パートさんの協力があってこそです。
インファクトリーでは、閑散期に他部署を経験して1人が1人がいろいろな業務ができるようにスキルアップすることができます。プリントや製版、プレスなど、いろいろなスキルを身につける事により、それぞれがフォローできる体制があります。
経験不足な部署もあるので、私も復帰後は努力しいろいろなスキルを身につけたいなと思っております。そして、今の育休メンバーが気兼ねなく休めるよう、粉骨砕身頑張っていこうと思っています。
インファクトリーは、私が入社してから10年になりますが、当初より大きく変化しています。その人に会った働き方ができる様に変化しつつある、そんな会社です。
具体的には、土日祝日の休みが増えたこと。夜も遅くまで働くことは昔より減り、離職率もここ数年大きく下がっています。今後、インファクトリーでは、育休を経験したメンバーが増える事により、新しい価値観や新しい創造性も産まれてくるはずです。
コロナ禍以降、様々な事柄が加速度的に変化の広がりをみせています。男女平等に育休を長期で取得できる事が当たり前の世の中になれば、社会により良い変化が起こると思います。そんな世の中になる事を切に願い、締めさせていただきます。
Written by 磯谷