オリジナルTシャツを作るにあたり、デザインで見落としがちな「著作権」。よく耳にする単語ですが、具体的にどのような権利か理解できていますか?近年、著作権に関する法的な取り締まりは厳しくなっており、違反がある場合は多額の損害賠償を払わなければならないことも。そのようなトラブルを防ぐためには著作権への正しい知識を得ることが大切です。
今回はオリジナルTシャツを作るときに押さえておきたい「著作権」について解説していきます。
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著作権とは
簡単に説明すると、著作権とは「個人の著作物を保護するための権利」です。権利者の許可なく、著作物を複製(コピー)して利益を得ることは法律で禁止されています。無断で他者が無制限に商品や作品を二次利用しないよう、著作物を保護しなければいけません。
よく、そのままコピーするのではなく、パロディやオマージュであれば問題ないのでは?というお問い合わせをいただくことがありますが、厳密に言えばこれらの行為もNGです。
ネット上に掲載されているフリーで使える素材にも著作権は存在します。たとえば、フリー素材で有名な「いらすとや」さん。汎用性の高いイラストを無料で使用できるところが特徴ですが、利用規約を見ると「著作権そのものは放棄していないこと」や「商用目的で素材を21点以上使う場合は有償になること」などが書かれています。「フリー素材=著作権がない」というわけではありませんので、注意しましょう。
著作物
自身の思想・アイデア・感情などを作品として表現したものを「著作物」と言います。こどもからおとなまで、ひとりひとりが思想や感情を表現し、独自に作り出したものは全て著作物になります。アニメ・音楽・小説・写真・地図・絵画など、著作物は身の回りにたくさん存在します。
著作者
著作物を作り出した人を「著作者」と言います。一般的に画家・小説家・作曲家などの創作活動をしている人が著作者になると考えられがちですが、そういった活動をしていない人でも、絵を描く・物語を作る、曲を作るなどをした場合は著作者になります。したがって、私たち誰もが著作者になり得るということです。
肖像権とは
著作権と同様に気をつけなければならないのが 『 肖像権 』 です。肖像権とは、個人の肖像(ある人の顔・姿をうつしとったもの)に対して発生する権利のことです。つまり著作権は文章や絵などものに対しての権利ですが、肖像権は人に対する権利です。
肖像権は、テレビや映画などに出演している芸能人、歌手など有名人に関連する場合の権利だと耳にすることが多いと思います。例えば、所属事務所に許可なく芸能人の写真など使ってTシャツにプリントしてしまうと、肖像権の侵害にあたります。
この権利は、私たち一般人にも適応される権利なので、肖像権の問題は私たちの身近なところでも起こりやすい問題です。自分以外の人が大勢写っている写真などもその人の許可を得ないかぎり、オリジナルウェアにプリントすることはできません。そのような写真に限らず、勝手に似顔絵を描いたデザインでも肖像権の侵害にあたってしまいます。
でも金銭のやりとりがない個人の利用であれば侵害にはならない!と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなことはありません!個人の利用であっても著作権や肖像権は、その権利を持っている人が少しでも損失があると判断すれば侵害したと訴えることができてしまいます。
インファクトリーでは、こうした著作権や肖像権に関するトラブルを防止するため、お客様が著作権や肖像権に関わるデザインのプリントをご希望の場合はご注文いただく前に予め権利を有する著作権者や企業、団体から承諾を得ていただきますようお願いしております。
また、人物が写っている写真や画像をプリントする場合も、写真に写っている方の権利を侵害しないように、写真の利用について同意を得ていただくようお願いしております。ご理解・ご了承のほどお願いいたします。
肖像権については主に2種類の「プライバシー権」と「パブリシティ権」が存在します。
プライバシー権
ブログやSNSの普及により、他人によって知らない間に自分の写真が公表されているという事案が増えています。そんな時に、個人情報を守るため自分の姿を勝手に写真・動画撮影されないように主張できる権利が「プライバシー権」です。肖像権の中のひとつと聞くと有名人が該当すると思われがちですが、誰もが持つ権利になります。撮影・使用許可を出していないにも関わらず、モザイク等の加工がないままの写真を使用したグッズを製作したり、SNSに公開するのは肖像権(プライバシー権)の侵害にあたります。
パブリシティ権
芸能人・スポーツ選手など、素顔や名前だけで商業的価値のある有名人が対象となり、有名人が持つ経済的な価値・利益を独占的に使用できる権利が「パブシリティ権」です。パブシリティ権の侵害にあたるのは、顧客の吸引の為に有名人の写真等を無断で使用し、経済的利益を害した場合です。例えば、関係者以外の人間が無断で芸能人の顔写付きのTシャツを作り販売し、利益を得るという行為は肖像権(パブシリティ権)の侵害とみなされます。
商標権とは
他社と区別するために、自社の商品やサービスの目印・文字・記号・ロゴなどを独占できる権利です。私たちの身の回りにある商品・サービスの大半が商標登録されています。例として、店舗で売られているペンには商品名や開発した会社のロゴマークがついています。これらを商標登録することで、他者が勝手に使用することができなくなります。著作権と違い、商標権は申請が必要です。商標審査官の審査を通過したもののみ、商標登録を受けることができます。商標登録済みの商標には、Rを丸で囲った「Rマーク(登録商標マーク)」が付いています。
よくある著作権侵害の例
これまでの経験をもとに「よくある著作権侵害の例」を紹介していきます。オリジナルTシャツを作る前に、自分のデザインが著作権を侵害していないかどうか必ず確かめておきましょう。
キャラクターやブランドロゴをそのままコピーする
これは完全にアウトです。私的使用でも著作権違反となります。たとえマイナーなキャラクターだとしても著作権は発生しますので、他人の作ったデザインを丸ごとコピーする行為は避けてくださいね。
キャラクターやブランドロゴを模倣してパロディする
パロディに関しては線引きが曖昧なため、製作OKとしている業者もあります。ただし、パロディは「著作物の改変」にあたることから、法的にセーフかどうかは微妙なところです。権利者に訴えられた場合は負ける可能性が高いため、インファクトリーでは明らかに元ネタが分かるパロディでの製作はお断りしています。特にディズニー、サンリオ、円谷プロ、任天堂などは著作権が厳しいので、要注意です。
SNSでダウンロードした写真を勝手に使う
写真は撮影した本人に著作権があります。TwitterやInstagramなどのSNSで全世界に公開されているものでも、権利者以外が勝手に使用すると著作権違反になります。
歌詞の一部をデザインに入れる
キャラクターやロゴ、写真だけでなく歌詞も著作物として扱われます。邦楽・洋楽問わず、著作権のある楽曲はほぼすべてJASRACが管理していますので、歌詞を使用する場合はJASRACの許可が必要です。
「私的使用なら著作権違反にはならない」は本当?
著作権法第30条には「著作物は、個人的にまたは家庭内などの限られた範囲内において使用すること(=私的使用)を目的とするときは、その使用者のみが複製できる」と記載されています。たしかに、この内容ですと「個人的に使うだけなら複製してもいい」と解釈できますが、注意しなければならないポイントは「その使用者のみが複製できる」という点です。
つまり、自分でTシャツにキャラクターのイラストを描き、それを家庭内で着るだけなら著作権違反にはなりません。ですが、弊社のようなプリント業者に依頼すると、個人と業者の間に金銭のやりとりが発生してしまうため「私的使用」の範囲を超えてしまいます。「個人的に使うTシャツであれば業者に依頼してもいい」といった認識は誤りです。個人使用であっても著作権を侵害するデザインでの製作はできかねますので、あらかじめご了承ください。
著作権侵害しないためには?
色々と説明してきましたが、著作権を侵害しないためにはどうすれば良いのでしょうか?一番望ましいのは、先ほどJASRACの例で挙げたように「権利者に許可を取ること」です。きちんと許可を取っておけば、著作権侵害とみなされることはまずありません。使用許可は口頭でも良いとされていますが、メールやFAXなど書面に残る形でもらうことをオススメします。
権利者の許可を得られなかった場合は、ネット上でダウンロードできるフリー素材を活用しましょう。フリー素材は権利者の許可がなくても使えるものがほとんどです。もちろん、商品ライセンスや使用条件は各サイトによって異なりますので、使用する際はサイト内の「利用規約」に目を通してくださいね。
法的違反にならないデザインでオリジナルTシャツ作成のコツ
著作権・肖像権の違反とならないよう、慎重にオリジナルTシャツのデザインを決めよう!と意気込みますが実際に「どんなデザインにしていいか思い浮かばない」 「実際にオリジナルのデザインを作りたいが方法が分からない」 と不安を抱いている方も多いと思います。
そんな方もご安心ください!弊社インファクトリーでは、初心者の方でも簡単に使うことができるデザインシミュレーターをご用意しております。デザインシミュレーターを使えば、スタンプや文字入力・画像を使ってお客様の手で簡単にデザインを作成できます。弊社では、商品のカラー・プリントカラーの色も多数ご用意しておりますので、いろんな配色を試してみてください。
▼デザインシミュレーター
https://t-simulator.jp/?ref=ip
まとめ
オリジナルTシャツの魅力は自分の好きなデザインで製作できるところですが、どんなデザインでも自由にプリントできるというわけではありません。ルールを守った上で、楽しくTシャツを作りましょう。「自分のプリントしたいデザインが著作権違反にあたるかどうか分からない」という場合は、担当スタッフにご相談いただけると幸いです!
Written by 湯浅