オリジナルTシャツをシルクスクリーンで製作する場合、デザインによっては金額がかなり割高になってしまいます。中には 「 3色や4色のデザインでTシャツを作ろうと思ったけど、予算をオーバーしてしまい、1色で我慢… 」 という経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、フルカラープリント対応の「 インクジェットプリント 」や「 転写プリント 」であれば、何色使っても料金は同じ!なんと、色数無制限で自由にデザインできるのです。
こちらの記事では、インクジェットプリントと転写プリントの違いやメリット、デメリットなどを解説していきます。
インクジェットプリントとは
インクジェットプリントは、家庭用のプリンターと同じ原理で、Tシャツの生地にインクを直接染み込ませる方法です。データをそのまま出力するので、多色のデザインだけでなく、写真やイラストなどのフルカラーのデザインも手軽に再現できます。濃色生地の場合、 「 デザインが綺麗に出ないのでは? 」 と思う方がいるかもしれませんが、下地に白インクを使用することで、元データの雰囲気を生かしたプリントが可能です。
メリット
やわらかい風合いに仕上がる
インクジェットプリントは生地に直接インクを染み込ませるため、ラバーインクのようなゴワつきがなく、やわらかい風合いに仕上がります。プリント部分が肌に触れても不快感が少なく、着心地も抜群です。
細かい線やぼかしなどが再現できる
他のプリント方法に比べ、デザインの再現度が高いところもインクジェットプリントのメリットの一つです。シルクスクリーンでは再現が不可能な細かい線やぼかしもインクジェットであれば、ある程度再現できます(※紙印刷とは異なり、凹凸のある布へのプリントとなりますので、1mm以下の線や隙間などは潰れ・かすれが出ます)。
小ロットでも注文できる
版代がかからないため、1枚からでも注文しやすくなっています。製作枚数が10枚未満の場合、割増のプリント料金や小口手数料が発生しますが、シルクスクリーンよりは確実に安くなりますので、「プレゼント用や自分用に小ロットで作りたい」というときにおすすめです。
デメリット
綿100%のアイテムのみ対応
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維はインクを弾く性質があるため、インクジェットプリントには不向きです。ポリエステルに関しては、デザイン次第でプリントできる場合もありますが、基本的には綿100%のアイテムのみ対応としています。
生地色によっては前処理剤の跡が残る
濃色生地の場合、発色を良くするために下地の白インクとは別で、「前処理剤」を塗布します。前処理剤は透明な糊のようなもので、通常ですと水洗いで落ちるのですが、生地色によっては前処理剤との相性が悪く、洗濯しても跡が残ったままになることも。特に、ブルー系の生地やオレンジ系の生地はその傾向が強いようです。
前処理剤が残りやすい生地色については、下記のページに詳しく記載しています。インクジェットでの製作をお考えの方は、事前にご確認くださいね。
https://www.infac-planning.com/process/inkjet.html
袖やポケット、背中首下へのプリントは不可
インクジェットプリントは印刷できる位置が限られており、袖やポケット、背中首下へのプリントはいたしかねます。この位置にフルカラーでプリントする場合は、転写プリントでの製作となります。
ラメや蛍光などは表現できない
CMYKでデザインを再現するため、ラメや蛍光などの特殊なカラーは表現できかねます。同様の理由により、PANTONEやDICでの色指定、RGBカラーでのプリントもできませんので、要注意です。
転写プリントとは
転写プリントは、専用の転写紙にデザインをプリントし、プレス機で圧着させる方法です。身近なものですと、アイロンプリントをイメージしていただくと分かりやすいでしょうか。インクジェットプリントと同じように、色数の多いデザインを再現するために用いられますが、インクジェットよりも制約が少ないところが特長です。
メリット
綿100%以外のアイテムにも対応
インクジェットでは対応できないポリエステルやナイロン素材へのプリントも、転写プリントであれば問題ありません。インファクトリーで取り扱っているアイテムの中で、プリント加工可能としているものは、すべて転写プリントで製作できます。
あらゆる位置にプリントできる
あらゆる位置というと、少し語弊があるのですが…面積のせまい袖やポケット、縫い目に近い背中首下などへのプリントができます。アイテムだけでなく、プリント位置の制限がないところが嬉しいポイントです。
デメリット
シートを圧着するため、貼り付けた感がある
インクを使用せず、シートを圧着させることでデザインを再現するので、どうしても貼り付けた感が出てしまいます。発色は鮮やかですが、着心地の良さではインクジェットに劣ります。発色と着心地のどちらを優先するかが重要です。
細かい部分には縁取りがつく
デザインの形にシートを切り抜くため、細かい部分には白もしくは生地色に似たカラーで縁取りがつきます。縁取りをつけることにより、元データと雰囲気が微妙に変わる可能性がありますが、あらかじめご了承ください。
ラメや蛍光などは表現できない
インクを使用しないプリント方法ですので、ラメや蛍光などの特殊なカラーは表現が難しくなっています。インクジェットプリントと同じように、PANTONEやDICなどの色指定もできないため、気をつけましょう。
まとめ
今回は、インクジェットプリントと転写プリントの特徴についてお伝えしてきました。それぞれのプリント方法のメリットやデメリットを理解しておくことで、デザインの幅がぐっと広がります。今まで1色プリントで妥協していた方もこの機会にフルカラープリントに挑戦してみてはいかがでしょうか?
Written by 湯浅