オリジナルTシャツの加工方法には様々な種類があります。その中でも人気が高いのが「シルクスクリーンプリント」と「インクジェットプリント」の2種類。どの業者でもよく見かけるプリント方法ですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、それぞれの特徴やメリット、デメリットなどを紹介していきます。この記事を読むことでプリントに関する知識が深まり、オリジナルTシャツがより身近なものになるかもしれません。
Contents
シルクスクリーンプリントとは?
メッシュ状の版に孔(あな)を作り、孔の部分にインクを落として柄を表現するプリント方法です。インファクトリーでは布へのプリントのみ対応していますが、シルクスクリーン自体は「水や空気以外なら何にでもプリントできる」と言われており、実際に金属やプラスチック、ガラスなど加工が難しそうな素材にも印刷可能!デザインの色ごとに版を作成しなければならないため、色数が増えるとその分金額も上がります。
シルクスクリーンプリントのメリット/デメリット
メリット
大量注文することで、1枚あたりの単価が安くなる
シルクスクリーンの料金内訳は「商品代+版代+プリント代+送料」が基本です。そのため、枚数をたくさん作ることによって、1枚あたりの版代の負担額を減らせます。プリント料金も「1~3枚(一律料金)」「4~9枚(一律料金)」「10~29枚」「30枚以上」と段階的に安くなっていくので、小ロットより大量注文の方がお得です。
インクの発色が良く、耐久性がある
生地にインクを染み込ませるのではなく、生地の上にインクを乗せて熱乾燥で定着させるため、濃色生地でも鮮やかに発色します。さらに、シルクスクリーンで使用されているラバーインクにはゴムのようなしなやかさがあり、繰り返し洗濯しても剥がれにくく、耐久性も抜群です。
綿やポリエステル、ナイロンなど様々な素材に対応
先ほどお話ししたように、シルクスクリーンの強みはどのような素材にもプリントできるところです。綿はもちろん、ポリエステルやナイロンなどの素材にも対応しており、インファクトリーで扱っている商品のほとんどはシルクスクリーンで加工できます。
ラメや蛍光色、発泡などの特殊プリントが可能
他の印刷方法では表現が不可能なラメや蛍光、発泡などもシルクスクリーンなら可能です。通常のプリント代に加えてオプション料金が発生しますが、特殊なインクを用いることでデザインの幅が広がります(※ただし、ナイロン素材には特殊インクでのプリントができませんのでご了承ください)。
デメリット
小ロットの製作だと割高になる
版代は1枚でも100枚でも同じ金額ですので、小ロットの製作だと割高になります。特に10枚未満は一律のプリント料金や小口手数料が発生するため、少なくとも10枚まとめてご注文いただくのがおすすめです。
色数が多いと版代がかさむ
シルクスクリーンはデザインの色ごとに版を作成するので、色数の分だけ版が必要です。場合によっては、インクジェットで製作した方が安くなることも…。コストを抑えるならシンプルに「1色1箇所プリント」がベストです。
フルカラーやグラデーションはプリント不可
データを不透明度100%にした状態でプリントを行うため、フルカラーやグラデーションなど濃淡のあるデザインはプリントできません。多色でも1色ずつ明確に色が分かれていればOKです。
インクジェットプリントとは?
版を作らず、家庭用のプリンターで紙に印刷するのと同じように、インクを生地に直接染み込ませるプリント方法です。白の生地が一番綺麗に仕上がりますが、濃色生地でも下地に白インクを使用することによって、元のデザインを生かしたプリントが可能になります。データをそのまま出力するので、フルカラーでもモノクロでも費用は変わりません。
インクジェットプリントのメリット/デメリット
メリット
フルカラーやグラデーションを手軽に再現できる
シルクスクリーンでは困難なフルカラーやグラデーションを手軽に再現でき、色数無制限で自由にデザインを作れます。ラバーインクのようなゴワつきがなく、柔らかい風合いになるところも魅力の一つです。
小ロットでも比較的低コストで製作できる
版代がかからないので、「プレゼント用に小ロットで製作したい」「自分用に1枚だけ作りたい」というご要望にお応えできます。10枚未満の場合、割増のプリント料金や小口手数料は発生しますが、シルクスクリーンよりも低コストで製作可能です。
デメリット
綿100%素材のみ対応
ポリエステルやナイロンなど化学繊維が含まれている素材はインクを弾いてしまう可能性が高いため、インクジェットには不向きです。基本的には綿100%のアイテムのみ対応となります。
生地色によっては前処理剤の跡が残る
濃色生地にプリントする場合、発色をよくするために「前処理剤」を塗布します。前処理剤は透明な糊のようなもので、通常であれば水洗いで落ちるのですが、ブルー系の生地は前処理剤との相性が悪く、洗濯でも落ちないことがあります。このような場合は生地色を変更するか、転写プリントでの製作に切り替えるかのどちらかとなりますので、要相談です。
袖や背中首下へのプリントは不可
インクジェットは印刷できる箇所が限られており、表面積が狭い袖部分や縫い目に近い背中首下へのプリントはNGです。背中にプリントする場合は、首のリブから8cmほどデザインを離す必要があります。
ラメや蛍光、発泡などは表現できない
CMYKで柄を再現するため、ラメや蛍光、発泡などは表現できかねます。また、PANTONEやDICでの色指定、RGBカラーでのプリントも不可となります。RGBカラーでデザインを作成した場合、元データと実際の仕上がりの色味にかなり差が出てしまうので、ご注意ください。
まとめ
シルクスクリーンプリントとインクジェットプリントの違いをお伝えしてきました。それぞれ違った良さがありますので、シンプルなデザインで大量生産するならシルクスクリーン、フルカラーもしくは小ロットで製作するならインクジェットといった具合に自分の目的に合わせて使い分けることが重要です。プリント方法で迷ったときは、ぜひ今回の内容を参考にしてみてくださいね。
Written by 湯浅