オリジナルウェアを作る際にポイントとなる、プリントサイズについてのお話です。デザインや商品の目的、プリント箇所によって定番となるプリントサイズは変わってきます。
とにかく大きいプリントを入れておけばO.K.なのか、とにかく控えめに小さいプリントを入れておけばO.K.なのか・・・どんなパターンにおいても共通して全て当てはまるのでしょうか?
様々な案件を担当する中で見てきた、よくある定番プリントサイズ、についてご紹介します!他にも、プリントサイズで魅せるパターンや、大きいプリントサイズと小さいプリントサイズそれぞれのデメリットについても紹介します。
まったく決めていない方、想像がつかない方、迷われてる方は一度読んでいただき定番を押さえ、製作の際にはぜひ参考にしていただければ幸いです!
Contents
大きいプリントサイズが定番となる場合
胸中央や、背中中央にプリントをする場合に検討することが多いです。多くの方が思い浮かべるイメージの通り、大きいプリントサイズはまず目立ちます。インパクトを与えることができます。
つまり、見た人の印象に残したいという場合には自然と大きなプリントサイズを検討することになります。お店を宣伝するために作るTシャツ、伝えたいメッセージをプリントするTシャツ、誰かに見せる目的の応援Tシャツや写真入りTシャツ、このあたりはまず大きいサイズのプリントを選ばれます。
このように明確な目的があるのに、その目的が果たせないとなってはせっかくのオリジナルウェアが活躍できずに終わってしまう可能性がありますよね。普段使いのTシャツとして考えたらありえない!と思われるかもしれませんが、何か宣伝等の目的を設定した上で作るのであればインパクトを重視してとことん突き詰めるのも非常に効果的です。
他には、ロゴのようなワンポイントのデザインではなく、元々が大きなキャンバスを想定して描いたようなデザインの場合です。全身を描いた人物やキャラクターなど、小さくしてしまうとディティールが分からなくなってしまうようなデザイン、細かいタッチのデザインについては、30cm程度を見据えて中央に大きくプリントをすることをおすすめします!
あまり大きくプリントしたくない・・という方もいらっしゃいますが、細かいデザインや繊細なデザインはある程度大きめにプリントをしなければ、デザインが元々持っている細やかな印象を活かしきることができません。むしろ、細部が潰れてしまったり線がかすれて消えてしまい、デザイン自体が不鮮明になってしまうというパターンが危惧されます。
データ上、もしくは紙の上では細かいニュアンスが表現することができていても、凸凹のある布の上に粘性のあるインクでプリントをするとなりますと、どうしても細かい部分の再現性は低下してしまいます。
名前などでたくさん文字を並べたり、いろんな協賛ロゴが入る場合なども、必然的に大きくプリントしなければひとつずつの文字や、各ロゴの細部がうまく再現できなくなってしまいます。
小さめのプリントサイズが定番となる場合
プリント箇所から考えると、左胸、右胸、袖、背中首下、この辺りは10cm以内の小さいプリントを入れるのが定番です。袖は基本的に横8cm×縦10cm以内のプリントサイズになりますので、大きいプリントは必然的に入れられません。
左胸や右胸ですが、ここのプリント箇所を選ぶ時点でおそらくワンポイント控えめに、といったイメージを持っている方が多いかと思います。実際に様々な場所で見かけるTシャツなどを想像してみると、ちょっとした文字デザインやシンプルなロゴ、店名、社名などは胸にポツンと軽めに入れているのが思い浮かぶのではないでしょうか。このような胸のワンポイントプリントは、基本的に10cm以内というサイズになっています。
大きな目立つプリントだと派手すぎるというような、制服などの場合は左胸10cm以内で検討されるのが良いかと思います。シンプルなロゴであったり、単なる社名などをあえて大きく前面に押し出してプリントすることは逆に落ち着きがないような印象にも見えてしまうかもしれません。大味になってしまうとイメージが良くないな、といった少ない文字やこじんまりとしたロゴは小さめの方が印象が良いかと思います。
プリント位置を左胸や右胸、背中首下で選んでいる以上、その場所に大きなサイズのプリントを入れることは、プリント位置そのものの持っているワンポイントのイメージを崩しかねないということも頭に入れておくと良いかもしれません。
プリントサイズをアクセントにする
大きいサイズ、小さいサイズのプリントの持つ定番の印象について記載をしてきましたが、今度は逆にその印象を逆手に取った方法について考えてみます。目立たせたい大きいサイズのプリントを持ってくることが多い胸中央ですが、ここにあえて小さいプリントを入れるとどうなるでしょうか?
ど真ん中にあるので自然とプリントに目がいきますが、プリントそのものは主張しないというギャップが生まれます。
注目させたいが、デザイン自体のパンチ力は弱いと思う場合などには、インパクトをギャップで補完するということもできてしまいます!同じように、なんてことない文字などをシンプルな雰囲気で中央にワンポイント、ドンと配置すると、それだけで場所とサイズと内容のチグハグさが妙なアクセントとなり、結果としてインパクトを残すようなケースもあります。
反対に、非常にシンプルな言葉や脱力したキャラクターを大きなサイズでプリントしてしまえば、普通であれば小さめにするところをなんでこんなに大きくプリントしたのだろう?というギャップを生むこともできます。
デザイン単体だけでなく、サイズや場所も総合してイメージを操作するというのは非常に有効なテクニックかなと思います。
大きいプリントサイズ、小さいプリントサイズ、それぞれのデメリット
プリントサイズがネックになるケースというのがあります。それは、使用するTシャツなど商品のサイズに開きがある場合です。
小さいものは100サイズなどのキッズサイズから、大きいものはXXXLサイズまで、といったサイズ内訳の場合にプリントサイズをどこに設定するかは悩みどころです。
版を使用してプリントをしますので、原則は『同じプリント内容』になります。
商品のサイズごとにプリントのサイズを変える、ということはありません。(そのような場合にはプリントサイズごとにひとつずつ版を製作することになります)
つまり、まとめて同じ版を使用し、同一ロットとして製作するためには 『 サイズ内訳の中で一番小さい商品にプリントできるプリントサイズ 』 に設定する必要があります。そうなるとプリントサイズは必然的にかなり小さいものになりますので、大きなサイズの商品に対しては非常に小さいプリントになります。
それでは見栄えが良くないという場合には、あるサイズで区切って小さいプリントと大きいプリント、2種類の版を作って別々でプリントをするという対処方法になります。(それぞれ別ロット扱いとなります)
同じ理由で、追加製作の際にもネックになることが多いです。初回に大きいプリントサイズで発注をしたが、追加製作の際にキッズサイズを含んだ内訳でご希望をいただいた、このようなケースがよくあるのですが、キッズサイズには大きいプリントサイズが入らないため新しく小さいプリントサイズの版をご製作いただく、もしくはキッズサイズの分を大きいサイズのものにご変更いただくことになってしまいます。
初回にご製作いただく際には、今後小さいサイズのTシャツを作る予定があるかどうかもご検討いただくことをおすすめします!
まとめ
プリントサイズを決める際には見た目ももちろん重要ですが、どういうデザインをプリントするのか、どういう目的でプリントするのか、といったことを一度考えていただくとより適切なプリントサイズというものが見えてくるかもしれません。それを踏まえてもなかなか決まらないという場合もあるかと思いますので、そのような場合には、持っている服や売っている服の中でいいなと思ったもののプリントサイズを参考にしていただくと間違いないかなと思います!
Written by 神谷