みなさん T シャツにプリントするインクは気にしたことがありますか?
「 インクなんてこだわりないよ! 」 なんて方、いらっしゃいますよね。
しかし! 弊社ではインクにはこだわりがあるんです!そこで今回は、自社でのプリント色ができあがるまでの工程にふれていきたいと思います。
これがないと始まらない!バインダーとは?
はじめに、バインダーをベースに色をつくります。英語で「binder」とよ呼び、「bind するもの」、すなわち、「縛るもの」「結ぶもの」という意味で、 大胆にいえば、「色」と「生地」を結ぶ『糊』のようなものです。 バインダーをプリントのインクとして使用します。 バインダーには、生地に顔料を定着させる樹脂が入っています。
バインダーにはいろいろ種類があり、
- 1)T シャツの生地色とプリント色の相性
- 2)デザインの柄
- 3)プリント方法 この3つで使い分けます。
弊社で使っている主なバインダーがこちら。
- ・EN-2E (2RE) … 主に白色プリント用で、黒や青などの濃い色の生地に使用します。顔料を入れても色が染まりにくいです。
- ・EN-5E (5RE) … 着色用の透明バインダーで、淡い色の生地にプリントする使用します。赤や青といった濃い色をつくるために使用します。EN-2E (2RE) と違って、色が染まりやすいです。
- ・EN-ME (MRE) … こちらも着色用の透明なバインダーで、黒色のインクをつくるために使われます。
上記の 2 つよりもこちらが一番色が染まりやすいです。
これらのバインダーの大きな違いは、透明度なんですよ~
白 ← ← ← 半透明 ← ← ← 透明
EN-2E (2RE) > EN-5E (5RE) > EN-ME (MRE)
このように透明になるほど、色が染まりやすくなります!
*EN シリーズは、標準のラバーです。
*EN-R シリーズは乾燥が遅く、固まりにくくします。
普通は EN シリーズのみで作られますが、 プリントする際に、インクが詰まりそうな細かい柄がある場合は、EN-R シリーズも配合して乾燥を遅らせてシルクの版に詰まりにくくします。 *バインダーの成分で樹脂量が多いと、版の目詰まりがしやすくなります。 それでもプリント枚数が多いと、やはり途中から詰まってきてしまいます…。
そこで、使用するバインダーが、ER-30MW と ER-10 です。
- ・ER-30MW … 白色の不透明なバインダーで、白色プリント用です。EN-2E (2RE) で詰まらせやすい柄である場合に使用します。
- ・ER-10 … 透明なバインダーで、黒色プリント用です。EN-ME (MRE) で詰まらせやすい柄の場合に使用します。
その他、特殊のバインダーもあります!
- ・FH-300Z、FH-300W … 発砲インクで使用します。Z の方は着色用に、W の方は白や、薄い色をつくるときに使用します。温められると名前の通り、膨らんでいきます。
- ・W-32 … 半ラバーインクで使用します。
- ・W-8 … 不透明で、染み込みインクで使用します。
- ・W-16 … 白で、白伏せ用ホワイトバインダーです。W-376 と併用します。
- ・W-376 … 透明で、白プリント用に使用。W-16 と併用します。
- ・TN-64 … 箔プリントに使用する糊です。
W-8 W-16 ER-30MW などがありますよ~!
バインダーは、粘り気が強いものから水っぽいものがあります。種類によっては、乾燥する時間が違うように、固まる時間もバラバラなんですよ〜。また、透明度で色のつき具合が変わりますし、プリント後の風合いも変わってきます!
ドライ生地など、繊維によって接着、凝固しにくい場合は「フィクサー」という架橋剤を使って、プリント部分の剥がれを阻止します!染み込みプリントや箔プリント、発砲プリントなど、プリント方法はたくさんありますが、色をつける顔料は全て共通でも、量や、使用するバインダーが違います。
Written by 河出